【3193】鳥貴族、2019年度鳥貴族がどんな一年だったのか?売上は?利益は?現状はどんな状況?稼ぎ頭はなに?今どんなところに力を入れているの?今後どこに向かおうとしてるの?を決算短信で読み解きます。

・2.貸借対照表 自己資本比率は改善したが・・・
・3.キャッシュフロー計算書 投資活動が減少??これまでの勢いがなくなるか?!
・4.売上に関するその他の情報 今は大きく跳ぶための助走段階!!
・5.収益性分析 見るべきポイント
・6.業界平均比較 【悲報】売上高成長率以外業界平均以下!
・7.19年7月期 総括
・8.20年7月期 業績予想
・9.今後の注目点
【3193】(株)鳥貴族 2019年度決算を読み解く

損益計算書
単位:百万円
決算期 | 2015/7 | 2016/7 | 2017/7 | 2018/7 | 2019/7 |
売上高 | 18,659 | 24,509 | 29,336 | 33,978 | 35,847 |
営業利益 | 1,118 | 1,595 | 1,457 | 1,681 | 1,190 |
経常利益 | 1,082 | 1,547 | 1,426 | 1,613 | 1,145 |
当期純利益 | 585 | 981 | 967 | 662 | -286 |

19年度は全体の売上については増収ですが、中身を見ると厳しい状況となっていました。内容は既存店で前年比94.8%と減収となっていて、18年度に新規出店した店舗の売上により前年比105.5%となっています。利益の減益については販管費の増加と業績不振店と撤退による減損損失の計上が原因です。また、当初予想よりも下振れした要因については、売上高は店舗集客力低下、新店の予算未達となっていて、利益は売上高減少による粗利の低下と業績不振店と撤退による減損損失の計上が原因となっています。
貸借対照表
単位:百万円
決算期 | 2015/7 | 2016/7 | 2017/7 | 2018/7 | 2019/7 |
流動資産 | 5,675 | 4,875 | 6,069 | 5,708 | 5,736 |
固定資産 | 5,329 | 7,601 | 9,873 | 13,081 | 11,391 |
流動負債 | 3,930 | 4,490 | 5,897 | 7,493 | 6,931 |
固定負債 | 2,501 | 2,444 | 3,710 | 4,393 | 3,672 |
株主資本合計 | 4,573 | 5,542 | 6,333 | 6,902 | 6,523 |
純資産合計 | 4,573 | 5,542 | 6,333 | 6,902 | 6,523 |

自己資本比率1.4ポイント改善しましたが、当期純損失の計上と配当の支払いをしたことにより、純資産は減少しています。では、なぜ自己資本比率は改善したのか?それは、純資産の減少以上に負債が減ったからです。もちろん、負債・純資産が減ったのなら資産も減っています。資産は主に何が減ったのでしょうか?大きく減少したのは、固定資産で、その要因は損益計算書でも説明しましたが、業績不振店と撤退による減損損失で固定資産が減少しています。流動資産は増加していますが、現金預金は減少しています。
キャッシュフロー計算書
単位:百万円
決算期 | 2015/7 | 2016/7 | 2017/7 | 2018/7 | 2019/7 |
営業活動によるCF | 1,704 | 2,412 | 3,000 | 3,306 | 2,171 |
投資活動によるCF | -1,348 | -2,476 | -2,394 | -3,460 | -1,331 |
財務活動によるCF | 1,498 | -1,021 | 480 | -87 | -1,143 |

今まで、投資活動によるキャッシュフローに資金を投入してきていましたが、ここにきて、いきなりのそれが減少しました。これで本当に大丈夫なのでしょうか?投資活動によるキャッシュフローが改善傾向にあるという事は、新規出店のスピードが減速したということになります。そこは、今後の注目点で説明していきたいと思います。貸借対照表でも見ましたが、現預金はマイナスとなっているので、もちろんフリーキャッシュフローはマイナスとなっています。
売上に関するその他の情報
決算期 | 2015/7 | 2016/7 | 2017/7 | 2018/7 | 2019/7 |
直営店 | 227 | 285 | 342 | 423 | 413 |
加盟店 | 187 | 207 | 225 | 242 | 246 |
合計 | 414 | 492 | 567 | 665 | 659 |

これまでどんどん成長してき鳥貴族ですが、19/7期で店舗拡大の成長が一時ストップしました。その理由としては、不採算店の整理の為ということになっています。来期も不採算店の整理と新規出店の調査と分析を優先し、新規出店は織り込まないとなっている為、直営店の増加は見込めません。が、22/7期には海外出店を予定していたり、現在の既存店は関東・東海・関西エリアだけですが、それ以外の未出店エリアへの展開をすることで不採算店で減少した売上を補うことを予定されています。
経営指標
・・・・・・流動比率
・・・・・・売上債権・買入債権回転率
収益性分析一覧
決算期 | 2015/7 | 2016/7 | 2017/7 | 2018/7 | 2019/7 |
売上高総利益率 | 68.6% | 68.7% | 67.9% | 69.7% | 70.1% |
売上高営業利益率 | 6.0% | 6.5% | 5.0% | 4.9% | 3.3% |
売上高経常利益率 | 5.8% | 6.3% | 4.9% | 4.7% | 3.2% |
売上高当期純利益率 | 3.1% | 4.0% | 3.3% | 1.9% | -0.8% |
売上高販管費率 | 62.6% | 62.1% | 63.0% | 64.7% | 66.8% |
ROA | – | 13.2% | 10.0% | 9.3% | 6.4% |
ROE | – | 19.4% | 16.3% | 10.0% | -4.3% |
安全性分析一覧
決算期 | 2015/7 | 2016/7 | 2017/7 | 2018/7 | 2019/7 |
流動比率 | 144.4% | 108.6% | 102.9% | 76.2% | 82.8% |
当座比率 | 120.9% | 83.0% | 81.6% | 58.5% | 59.2% |
現預金月商比率 | 3.05 | 1.82 | 1.97 | 1.55 | 1.37 |
自己資本比率 | 41.6% | 44.4% | 39.7% | 36.7% | 38.1% |
固定比率 | 116.5% | 137.2% | 155.9% | 189.5% | 174.6% |
固定長期適合率 | 75.3% | 95.2% | 98.3% | 115.8% | 111.7% |
営業キャッシュフロー | 1,704 | 2,412 | 3,000 | 3,306 | 2,171 |
投資キャッシュフロー | -1,348 | -2,476 | -2,394 | -3,460 | -1,331 |
財務キャッシュフロー | 1,498 | -1,021 | 480 | -87 | -1,143 |
活動性分析一覧
決算期 | 2015/7 | 2016/7 | 2017/7 | 2018/7 | 2019/7 |
総資本回転率 | – | 2.09 | 2.06 | 1.96 | 2.00 |
総資本回転期間 | – | 175 | 177 | 186 | 182 |
固定資産回転率 | – | 3.79 | 3.36 | 2.96 | 2.93 |
売上債権回転率 | – | 143.75 | 129.52 | 122.44 | 110.13 |
売上債権回転期間 | – | 3 | 3 | 3 | 3 |
買入債権回転率 | – | 30.52 | 29.44 | 31.83 | 32.01 |
買入債権回転期間 | – | 12 | 12 | 11 | 11 |
生産性分析一覧
決算期 | 2015/7 | 2016/7 | 2017/7 | 2018/7 | 2019/7 |
一人当たり売上高 | – | 44.89 | 45.10 | 44.50 | 42.47 |
一人当たり経常利益 | – | 2.83 | 2.19 | 2.11 | 1.36 |
一人当たり当期利益 | – | 1.80 | 1.49 | 0.87 | -0.34 |
見るべきポイントとしてあげた流動比率は100%を切っており、安全性の面では不安が残ります。もう一つあげた売上債権回転率と仕入債権回転率です。これは、売上債権をどのくらいで回収しているのか、仕入債権をどのくらいで支払いをしているのかを測る指標です。これを見ていくと売上債権回転率は下がってきており、仕入債権回転率は上がってきています。これだとキャッシュフローが悪化してしまいます。ここの改善も今後フリーキャッシュフローを高めるポイントとなってきます。
業界平均比較
上:(株)鳥貴族 下:業界平均
決算年 | 2015 | 2016 | 2017 | 2018 | 2019 |
売上高成長率 | ー | 31.35 | 19.69 | 15.82 | 5.50 |
ー | 5.89 | 2.62 | 5.65 | -8.39 | |
営業利益成長率 | ー | 42.67 | -8.65 | 15.37 | -29.21 |
ー | 22.02 | 4.40 | -0.33 | -27.57 | |
経常利益成長率 | ー | 42.98 | -7.82 | 13.11 | -29.01 |
ー | 24.02 | 4.49 | -0.85 | -26.31 | |
当期利益成長率 | ー | 67.69 | -1.43 | -31.54 | -143.20 |
ー | 151.62 | -12.54 | -2.08 | -40.14 | |
自己資本比率 | 41.55 | 44.42 | 39.73 | 36.73 | 38.09 |
43.17 | 45.51 | 46.76 | 46.29 | 43.60 | |
ROE | ー | 19.40 | 16.29 | 10.00 | -4.26 |
ー | 10.39 | 8.56 | 7.99 | 5.04 |
売上高成長率以外、業界平均以下の数字となっています。自己資本比率は財務方針として40%を目安として一定の財務健全性を維持するということになっています。今後の中期経営計画が軌道に乗れば売上高も伸び、営業利益率も回復してくると思われます。
19年7月期 総括
19/7期はこれまで伸び続けていた店舗数拡大も減速し、新たな成長ステージへと向かう助走の第一段階となりました。その為に、売上高も前期比ではプラスになったものの、計画に対して未達となりました。また、当期利益に関しても業績不振店の撤退で減損損失も計上しています。こういったことから、中期経営計画を立てていて、来期の目標も数値だけでなく、どのような経営をしていくのかがはっきりしていますので、そちらを楽しみにしたいと思います。
20年7月期 業績予想
20/7期は売上高34,605百万円(3.5%減)、営業利益1,309百万円(10.0%増)、経常利益1,264百万円(10.4%増)、当期利益454百万円(740百万円増)の予想となっています。20/7期も「退店や減損損失の可能性を想定し、期末において特別損失400百万円を織り込む」となっているので、業績不採算店を整理していくものと思われます。
今後の注目点
キャッシュフロー計算書のところで記載しましたが、投資活動によるキャッシュフローが改善傾向にあるという事は、新規出店のスピードが減速しているということになります。これには訳がありました。鳥貴族は5カ年中期計画を立てていますが、そこに答えがあります。まず、初期段階として、不採算店の整理と国内新エリア進出のための調査・分析を優先するためとなっています。その結果、投資活動によるキャッシュフローが改善したということとなります。20/7期も投資活動によるキャッシュフローは多額にならずに準備期間としてのフリーキャッシュフローを出してもらいたいと思います。